「あん…ああん…」
(ね、姉さん!何やってんだよ!)
学園祭の準備で遅く帰ってきた明は、姉の痴態を目の当たりにして、声も出せずにいた。
姉の部屋は引き戸が少し開けられ、暗い廊下に灯りが漏れ出していた。
漏れ出していたのは灯りだけではなかった。
普段気丈に明るく振舞っている姉からは聞いたこともない、半泣きのように湿った、しかし甘く扇情的な声。
只ならぬ雰囲気を感じ取った明は、声も掛けられず開いた戸の隙間―とは言っても十センチ以上は開いていたのだが―から覗き見るしかなかった。
(ええーっ!?)
何と陽子は、母校である高校―現在明も通っている―のセーラー服を着ていたのだ。
上着はたくし上げられ、ずらされたブラから乳房がはみ出している。
スカートは臍の上までまくり上がっており、セーラー服には似つかわしくない、大人の女性向けにデザインされたショーツが丸見えである。
陽子は戸の方に背を向け、カーペットに置いた座椅子に腰を下ろしていたのだが、明には正面の姿が見えていた。
それはなぜか。
陽子が自分の姿を、入口側に向けた姿見に映しながらの、オ ナ ニ ー の真っ最中だったからである…
* * *
「んっ…はあん…」
半開きの唇から吐息が漏れる。
右手はショーツの中心をまさぐり、左手の指先は右の乳首をくりくりと摘んでいる。
姉のあられもない姿に明はしばし我を忘れて見いってしまった。
「あん…気持ちいい…んっ…」
陽子の右手はいつの間にかショーツの中に潜り込んでいた。
自分の一番の快感ポイントを直接刺激し始めたのだ。
「陽子のアソコ…濡れちゃってる…」
確かに陽子の股間からはぴちゃくちゅと湿った水音が聞こえ始めた。
(姉さんが…あんなことを…しかもあんな格好で…)
明はひどく混乱しながらも、一人の女としての姉の淫らな姿に魅せられていた。
口の中に溜まった唾をゴクリ、と飲み下した瞬間、その音が聞こえたかのようなタイミングで、陽子が声を放った。
「明…そんなところに立ってないで…こっちへいらっしゃい…」
* * *
「姉さん…気付いてて…見せてたの…?」
明は姉の濡れた声に引き寄せられるように部屋の中に入っていった。
弟の問いには答えず、陽子は乱れた着衣のまま、膝立ちでにじり寄っていった。
「ああ…この学生服…思い出すわ…」
陽子は感極まったように言うと、弟の腰にすがりついた。
「姉さん…酔ってるの…?」
見ると姉の部屋のテーブルの上には、梅酒サワーの缶が2、3転がっているのだった。
「姉さんね…高校の時に好きだった人が忘れられなくて…時々こうして…」
「姉さん…」
「許してね明…私もずっとお母さん代わりで…男の人ともまともに付き合えなくて…淋しかったの…」
意識してか知らずか、陽子は弟の腰を抱きしめると、ちょうど性器のある辺りで顔を振って頬ずりするのだった。
「うっ…姉さん…」
さっきからの姉のオナニーショーで少なからず興奮させられていた明の海綿体は、姉の美しい顔による愛撫で一気に充血してしまった。
「あら…明のここ、何だか苦しそうね…姉さんが、楽にしてあげる…」
言うと陽子は、カチャカチャとベルトのバックルを外し始めた。
「ちょ、ちょっと…」
「いいからじっとしてなさい…」
陽子は素早くジッパーを下ろすと、トランクスも膝まで一気に下げてしまった。
最大限に勃起した明のペニスが姉の目の前に晒された。
「あん…男の人のおっきくなったおちんちん…久しぶりだわ…」
陽子はそれに顔を近づけると、すんすんと鼻を鳴らしてその匂いを嗅いだ。
「くちゃい…でも懐かしい…オスの匂いだわ…」
「姉さん…前にもこんなこと…」
「ん…高校の時付き合ってた人に…何回か口でしてあげたの…」
陽子はあーんと口を大きく開けるとぱくりと明の陰茎を咥えた…
* * *
「うっ…」
男にとって最大最高の快感ポイントを、暖かなぬかるみに絡め取られた明は、生まれて初めての快感に、呻くしかなかった。
「ねえふぁんえ…まら…ほふぉは…ふふぁっへ…ふぁいほ…」
弟の急所に歯を立てないようにとの気遣いなのだろうが、ペニスを咥えたままで話すその微妙な吐息がまた明を感じさせる。
「ああっ…って…姉さん…まさか…」
「ほう…ほほは…まら…ひょひょふぁふぉ…」
衝撃的な告白だった。フェラチオの経験はあったが、セックスはまだしていないと言うのだ。
言いながら陽子は自らのヴァギナに指を出し入れし始めた。
「ぷはあ…だから、明もお口で我慢してね…んんっ…」
苦しくなったか、一旦口からペニスを出した陽子は、もう一度明の亀頭に唇を被せていった。
なんという光景だろう。姉が、実の姉が、自分の陰茎をしゃぶりながら、自らを指で慰めているのだ。
上から時々ちらちらと覗く乳首がまたエロティックな眺めだ。
明の性感は一気に高まった。
「ね…姉さん…俺…もう…」
「んっんっ…いいよ…明…姉さんに…明のミルク…飲ませて…」
姉の淫らな誘い言葉で、もう辛抱は効かなかった。
「出すよっ…姉さんっ…」
「明…姉さんも…一緒に…イクぅっ…」
「「ああああああっっっ!!!」」
姉弟ならでのシンクロニシティなのか、二人は同時に声を上げて達した…
* * *
「はあ…はあ…姉さん…姉さん?」
快感に喘いでいた明は、足元にうずくまる姉に声を掛けた。
軽い寝息を立てて、陽子は寝入ってしまっていた。
あまりアルコールに強くない陽子の、久しぶりの酒による酔いと、魂の抜けるようなエクスタシーが相まってか、落ちるように眠ってしまったようだ。
その頬に一筋の涙が流れているのを明は見逃さなかった。
かつての恋人を思い出しての涙なのか、それとも実の弟と禁忌を冒してしまった後悔の念から来る涙なのか、明には知る由もない。
(姉さん…俺、これからもっと姉さんを大事にするよ…)
明は心の中で呟くと、学生服の上着をそっと陽子に掛けてやり、灯りを消して部屋を出た…
―fin.
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