昨日の夜、夢を見た。
いつもと同じ様に、いつもの日課。
だけど、1つだけ違っていたのは・・・。

「椿くん、どうしたの?なんだか顔が赤いわ」
その日の帰り道。
俺はいつもと変わらないフリをしていたけれど、そんな事は卜部には通じない。
「え?赤い?別に・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・ふっ」
「っ!わっ、ま、待った・・・分かった、分かったからっ」
いつものアレが発動されそうで俺は慌てて阻止しようとした。
「なに?」
卜部の捲れたスカートが、ゆっくりと下りた。
「じ、実は・・・昨日、夢を見たんだ」
「夢?」
「うん・・・その・・・いつもの日課をしている夢だったんだけど・・・でも、夢では・・・指からじゃなくて、指じゃなくて直接・・・」
「・・・」
ああ、卜部が黙ってしまった。しかも前髪で目が隠れているから、どんな表情をしているのか分からない。
「はは・・・単なる夢だし・・・はは」
情けない俺の笑い声が虚しく響いた。

「それで」
「へっ?」
卜部が、声を出した・・・。
「それで、直接、私の涎を舐めて・・・どう・・・甘かった?」
声のトーンから怒ってはいないみたいだった。
「あー、う、うん・・・甘かった」
「いつもより?」
「・・・うん」

「・・・」
「・・・」
卜部は、黙ってしまって。俺も黙ってしまって。
そのままお互い黙ったまま時間だけが流れ。

”くちゅくちゅ・・・”
という音が聞こえて来た。卜部の、口の中から。
そして。
「はい」
「え?」
卜部は口から舌を出し、その舌には、涎が光っていた。
「え、いいの?」
「・・・」
卜部は黙ったままコクリと頭を下げた。
俺は、ゆっくりと卜部に、卜部の顔に舌に近付き、自分の舌を出すと、
卜部の舌を、ぺろりと舐めた。

・・・甘い、いつも以上に甘い。
今までで1番甘く感じた涎に気が遠くなりそうだった。