卜部と椿のよだれによる“絆”、その存在について百夏は疑問を抱いていた

「ちょっと考えてみたけどやっぱりわからん、あんたたちの“絆”ってのは」
「別に解る必要はないわ ただ“絆”があることを知ればそれでいいでしょ?」
「そりゃー見せてもらえればイヤでも知れるけどさー 現実味がなさすぎっていうか!」

百夏は投げやりに答えると、ソファーの上に寝転がった

「お? なんだか寝心地良いなこのソファー こりゃ今夜はよく眠れそうだ」

感触を確かめるようにソファーをいじると、百夏はそうこぼした

「今夜は…って、あなたここに泊まるつもり?」
「い、いーだろ別に 頼む! 似た顔の誼でさ! 悪いようにはしないから!」

百夏は起き上がり、正座して手をすりあわせながらまくし立てる

「そう何回も同じ場所(ネットカフェ)に泊まってたら居場所突き止められちゃいそうだし!」
「そもそもネットカフェに着ていく服がない!」「あとお金もちょっと心許ない!」

卜部は、自分にはない勢いでどんどん気圧されていく

「まあ…しょうがないわね、あなたの服も(理由はともかく)刻んじゃったし、そのわびとして」
「やた!ありがとすまんなっ!」

百夏はほっと安堵する が、すぐまた申し訳なさそうな顔になった

「あのさ、ブラってないの?」

「ごめんなさい、あなたに合うサイズのは無かったわ」
「あ、そりゃそうか あんた大きいもんね えへへ…」

「…って、そりゃ嫌味か!嫌味なのか!」
「別にそんなつもりは無いわ ただ事実を言っただけよ」
「ぐぐぐ…胸が勝ってるからってぇ…っ!」
「はぁ?なにを…」

卜部が言い切るか否か、百夏は卜部の胸へと手を伸ばす

「ちょっとぐらい分けろ!」

そして、服の上から胸を鷲掴みにすると、ぎゅっと力強く揉んだ
その時だった


「んッ」
「んっ」


不意にきた刺激に、百夏は思わず手を離す

(えっ…? 今のわたし…?)

卜部の胸を揉んだと同時に、百夏の胸に甘い刺激が与えられた
その刺激は、おそらくは百夏が感じたことの無いだろう“揉まれた”刺激だった

(えッ…?今のは…?)

卜部もまた、初めて感じる甘い刺激に戸惑っていた
それは、椿に触られたときにも感じたことのないものだった


「…ちょっと」
「…なに?」

しばし呆然とした後、百夏が切り出す

「も、も一回揉ませれ」
「イヤよ」

すかさず伸ばした手を、卜部に捕られる百夏

「イヤって言ってるでしょ?」
「いいじゃねーかよ減るもんじゃないし! ちょっと確かめさせれ!」
「わたしは確かめたくないの!」

ぎぎぎ、と拮抗する両者
埒があかないとみた百夏が、外を指さして叫んだ

「あ、UFO!」
「え?」

思わず、意識を外に向ける卜部
その隙を逃さなかった百夏の手が、再び卜部の胸へと触れる

「しまっ…」
「ふふふ…アイドルというもの、頭も使えなくちゃ…な!」

百夏は勢いよく、されど先ほどよりも優しい手つきで胸を揉む

「んあッ」
「あっ」

より甘い刺激が、両者に走った
百夏の、そして卜部の疑念は確信へと変わった

「やっぱり…あんた、胸揉まれて気持ち良かったでしょ?」
「そ、そんなこと…」

もう一度、つまむように揉む

「う…ッ」
「っ…ほら、そうでしょ?」
「仮にそうだとして、だからどうしたのよ…」

顔を赤くした卜部は、それでもなお崩れまいとする
同じく顔を赤くした百夏には、なぜかそれが解るような気がした

「なんでかわかんねーけど、あんたが気持ちよくなるとわたしも気持ちよくなるみたい」
「はぁ?それって…」
「あんたの言う“絆”ってこれのことかな? よだれではないけど」
「別にあなたと“絆”でつながっていても…」
「なにそれ?いーじゃない 似た顔の誼でさ」

百夏は、片方を卜部の胸に置いたまま、もう片方を自身の方へとやる
そして、羽織っていた上着の裾から中に手を入れ、何も着けていない胸へと登らせる

「これでそうなら100%確定だな…」

乳頭辺りをぎゅっとつまむ
服の上からではない、直の刺激が二人を襲う

『うあっ!』

繰り返しの影響か、はたまた胸の薄い故か、今度は完全に同調している

「こ、これが“絆”か… キモいって思ってたけど、なんだかちょっと…」
「…どうして」

不思議な高揚感に酔う百夏と対照的に、顔を俯かせる卜部

「ん?」
「い、今まで、胸でなんてなんとも無かったのに…」
「んー、よくわからんけどそうなのか ま、これも“絆”の力ってことで」
「そ、そんな軽い…あッ…うあッ」

お構いなしにと百夏は両の手で胸を揉む
先ほどまでのような確認のためではなく、欲のままに責め立てる

「とにかっ…く、せっ…かくの“絆”なんだし…ふっ…!」
「“揉まれる”…なんって体験ん…初めて…んだから、堪能、させてよ」

柔らかく大きい、自分にはないものを余すことなく揉みしだく
そのたびに溶けそうなほどに熱くなる自分のもの

「あッ!…たしの胸はあなた、のじゃないわっ…っよぅ」
「くぁ!…たいこと言わないで、ほら…っ」

百夏は目で、卜部にそれを促す

それが何かに気づいた卜部は躊躇した、迷ったのだ

(…? わたし、なにを迷って…)

「今っ、ちょっと迷っただろ…?」
「べ、別に何もッ」
「わたしの、“今井百夏の胸を触ればもっと気持ちよくなれるかも”って迷…っただろ?」
「そんなこと!…ッ!」

図星を突かれ即座に否定する卜部だが、それでも体は反応してしまう

「いいからさ、ほら…」

パッと、胸から手を離す百夏

「な…に…?」
「わたしはまだ“絆”ってのがよくわかんないからさ、教えてくれたっていいんだよ?」
「あんたと、あんたの彼氏の椿ってのとの“絆”がよだれなら、あたし達は胸なんだよ」

百夏は卜部の手を取り、その手を胸へと誘う

「だからさ、“絆”の先輩に、教えてもらうってのも良いんじゃない?」

その時、百夏の乳首に卜部の指が当たった
それは服の上からでもはっきりとわかるほどに起っていた

恐る恐る、自身の胸を見る
こちらは服の上からではわからないが、起っていると卜部は感じた

「…わたしも、こういう形の“絆”は初めてだし、今後のためにも知っておく必要があるわね」
「おお! …んん?」
「それに、この感じは…嫌いじゃない」
「なんか素直じゃないなー えいっ」
「ッ…不意打ちはやめて...」
「いいから!ほら、わたしのも...触って?」

卜部は言われるがまま、百夏の胸を揉…触る
そうして流れる甘い刺激に身をよじる

『ふあ…! ぁふっ、うん...!』

一人では決して味わえない、四方からの刺激を二人は味わう

「いい、よっ 美琴っ そのまま…!」
「ぁぅ…百、夏ぁッ…!」

逃れられない、逃れようとも思わない快感
徐々に、徐々にそれが増していく
視界はぼやけ、目の前にいる「彼女」だけが鮮明に写る

「わっ…わかる、あなたのしたいっこと…」
「じゃあっ …いい? いいよねっ?」

合図は無かったが双方とも同時に、相手の胸を、一際強く責めた

『あぁあっ!』

視界が白く染まる
色々なものが身体を震わせる

二人は、どちらかが倒れた音とどちらかが倒れる音を聞いた

「いや、機嫌直せって美琴ー」
「別に怒ってないし気にもしてないわ」

目が覚めた後、卜部はろくに乱れた服を直すこともなくいじけており
百夏は、さすがにちょっとやりすぎたかと、申し訳なく思っていた

「いいだろ別に減るもんじゃなかったしさ」
「色々思うことがあるのよ、あなたには関係ないわ」
「…はいはいそうですねーっと …はぁ、もーこっちは汗までかいたってのに」

シャワー浴びようかなと考えていた百夏は、ふと異変に気づいた

(…あっ)

「あ、あのさー美琴」
「なに?」
「シャワー借りても良いか? それとも先にあんたが浴びる?」
「…私はいいわ、好きなだけどうぞ」
「じゃあわたしが先に浴びるな …パンツ、大丈夫か?」
「あっ… 〜ッ!」

卜部は、百夏がシャワーを浴びたがった理由を身体で知った

「や、やっぱりわたし浴びるわ」
「そぉ〜? でも先に入るのはわたしだろ?」
「はぁ?なに…」
「それに、“好きなだけ”っていったのはそっちだからな?たっぷり浴びちゃおっかな〜」
「…その間、あんたそのパンツ履いたままだけど、気にならない?」
「…何が言いたいの?」

 

「一緒に浴びない? さっきよりもっと深く“絆”をしりたいって、思わない?」

「あ……」

二人の絆が深まるのは、そう遠くないかも知れない

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