とうとう今日は中学卒業の日か…

学校に着きみんなと軽く挨拶を交わし体育館に向かった

全員パイプ椅子に座り、名前を呼ばれ順番に卒業証書をもらった

体育館から教室に戻るときに一年生と二年生の「サヨウナラ」や「先輩ありがとうございました」など言葉が雨あられのように降り注いだ、まあ俺個人ではなく三年前全体なんだが

クラスにみんな集合し、中学最後の友達との会話が始まった、中には泣いている人もいてクラスの中は大変な事になっていた

クラスを抜け俺は中のいいやつと数人と学校の中をうろついていた

「あ〜あ中学生活終わっちまったな」

「そうだね春休みが終わったら高校生だな」

「そうなるとみんな結構バラけるな、と言っても俺と上野は同じ高校だけどな」

「それもそうだな」

友達数人と話しながらあらかたうろつき終わり、チャイムが鳴ったのでクラスに戻る事にした

クラスに戻ると先生の最後のホームルームが始まった、内容はよく聞いてなかったけどお前ら頑張れ的な事だったと思う、正直早川の中学の制服を目に焼き付けるので頭がいっぱいだった

「おい椿帰るぞ」

「分かった、その前にトイレ」

「下駄箱で待ってるぞ」

「おう」

友達数人を待たしトイレに行き、用を済まし出てきたら

「椿くん見っけ♪」

「はっ早川!」

「こっちこっち」

手を引っ張られ

「ちょっとちょっと、どこ行くんだよ?」

「いいからいいから」

普段は使わない教室に入った

「どうしたんだよ?」

「わたし椿くんの欲しいな」

「え!?」

コレはどういう意味だろうか? まさかもう? デートもしてないのに?

「はっ早川、きっ気持ちは嬉しいけどまだ早い…」

「なんで? もういいじゃん? 学校終わったし」

そう言うやいなや

どんどん早川が近づき

俺の制服のボタンに手をかけ

「いいでしょ?」

「…うん」

早川は積極的なんだな…

「んっ取れない」

そう言いながら、俺の制服の第二ボタンを力いっぱい引っ張りあげていた

「ってあれ?」

「もういいでしょ? 椿くんの第二ボタン」

そういう事か… 

「俺のでよければどうぞ」

早川がスゴイ苦戦していたので

回りにハサミでもないかとキョロキョロしていると

「これなら」

一瞬いい匂いがするなと思ったら第二ボタンに早川が噛みつき始めた

頭を撫でてあげたい衝動に駆られたが自重した

ブチリと噛みちぎり

「えへへへ、もひゃい」

ボタンをくわえながら嬉しそうに喋っていた

可愛い… 心の底からそう思った

「春休み中に初デートしようね」

「うん! もちろん!」

「今日夜に連絡するから、二人でどこ行くか考ましょ!」

「わかった」

「私も友達を待たせてるから、じゃあ!」

「バイバイ」

早川が教室を出て、少し時間を空け俺も出た

下駄箱に待たせていた友達と合流した

「あれ? 椿、第二ボタンどうしたんだ?」

……さてどうしよう

「どっかいっちまったよ」

「あはは、そうかって、んな訳あるか!」

適当に誤魔化しその場はしのいだ

夜まで、友達と馬鹿騒ぎをし家に帰った

「おかえり明」

「ただいま姉ちゃん」

部屋着に着替え、早川の電話を待つことにした


部屋でボーっとしていると『プルルルル』っと電話が鳴ったおそらく早川だと思うので、猛ダッシュで受話器を取った

「はい椿ですけど」

「あっ! わたしわたし」

やっぱり早川だった

「まってたよ」

「ごめんごめん、いま大丈夫?」

「んー、落ち着いて話すのはムズカシイかな」

この時間だと姉ちゃんがなに行ってくるかわからないし

「そうなんだ…… じゃあ手短に話すね」

「うん」

「デートの予定なんだけど」

デート…… いい響きだ

「うん」

「割引チケットがあるから遊園地に行かない?」

「全然いいよ! 早川と一緒ならどこへだって行くよ!」

「そう言ってくれると嬉しいな」

電話越しに早川の笑顔が見えた気がした

「日程なんだけど明後日でいい?」

「それで大丈夫だよ」

「じゃあ明後日に駅に9時集合ね!」

「了解した」

「じゃーねー」

「うん」

電話を切り、姉ちゃんに明後日帰りが遅くなることを伝えた、当然早川の事を隠し友達と出かけると伝えた

次の日は適当に過ごし、ドキドキしながら当日を迎えた

休みの日で寒い中早起きしたが早川の事を考えたらなにも苦にならなかった

「じゃあ姉ちゃん言って来まーす」

「あんまり遅くなるんじゃないのよー」

ドキドキがおさまらないまま、駅に着いた、そのまま5分ほど待ち

「椿くーん」

早川が来た

「ごめんごめん、まった?」

「いま来たところだから、気にしなくても大丈夫だよ」

学校で見る早川とは違う魅力を感じた、上着も学校で着ているものと違いとても可愛いものだ

「どうしたの? 早く行こうよ」

早川は手招きしていた

どうやら見とれていたらしい

「うん」

目的地はここから30分ぐらいのところだ

キップを買い電車に乗った

電車の中で早川の隣に座ったのだがドキドキしていて、まともに話すことができなかった

「……」

「……」

「……」

「もう! そんなに緊張しなくても大丈夫よ!」

「そっそんな事言われても」

「私も緊張しているのは一緒」

そうだったのか…… 早川の意外な発言にビックリした

「このまま無言で過ごすのもアレだし、椿くん一昨日に友達と遊んだんでしょ? その事でも話しみてよ」

「そんな事で良ければいくらでも」

一昨日友達と馬鹿やった事を話したら、早川も楽しそうにしていて、いい雰囲気のまま遊園地に着いた

「わぁー ついたついた、椿くん早く早く!」

遊園地に着いたことがよっぽど嬉しいのか、早川はすごいはしゃいでいた

「まってまって早川」

受付を済まし遊園地に入った

「いろんなアトラクションがあるのね、どんどん行きましょう」

「うん」

「じゃあ…… まずはアレ」

早川が指をさしたのは、コーヒーカップだった

「早く並びましょう!」

「あい」

人が思ったより少なく、すぐ順番になった

見た目は可愛いコーヒーカップに乗り

「このハンドルを回すと早く回転するから、すこしずつ回していこう」

「うん! わかったわ!」

嬉しそうに返事をしてくれたが、絶対わかってない

「えい!」

早川はハンドルを持ち最初から全開で回した、ものすごいスピードで回転しはじめた

「はっ早川、早いって!」

「きゃー すごいすごい!」

見た目は可愛いコーヒーカップだったが、悪魔のような乗り物になった

時間が来て、コーヒーカップから降りた

「楽しかったね!」

「う、うん」

俺はヘロヘロになっており、気のない返事を返した

「どんどん行くわよ 次は……」

早川について行くと

「これにしようっと」

そう言って並んだ先は

「か、回転ブランコ」

また回転系だった

俺たちの番になり、乗ったのはいいが足元がなく、やたらと不安な乗り物に感じた

「♪」

隣に座っている早川はスゴイ楽しそうにしていた、そんな事を考えているうちにブランコが動き始めた、最初はたいした事ないかな? っとおもったが

「きゃー♪」

「うゎあああー」

激しいスピードで回転しはじめ、だんだん斜めになっていき、どんな原理かわからんが地面が見えた

何周かしてブランコから降りた

少し休みたかったけど

「今度はあれにしよっと」

まさかのノータイムである

手袋越しに手を取られ、連れてかれた先は

「ジェットコースターか……」

「うん♪ 早く乗ろう!」

近くに寄りコースを見てみると、何個もカーブがあり立てに一回転している部分もあった、こんなん乗ったら俺は死ぬんじゃないか?

「大丈夫かなー」

「大丈夫大丈夫、あ! 順番だよ」

席に座り、ガコンと安全バーが降りた

「……覚悟を決めよう」

「♪♪」

早川はただただ楽しそうだった対する俺は不安で冷や汗が出ていた

ジェットコースターはゴウンゴウンと、とうとう動き出してしまった

最初は上り坂のためノロノロと動いていたが……

この段階で俺の心臓は不安でビートを刻んでいた

ジェットコースターは頂上につき……

「……」

「♪♪♪」

一気に急降下した

「#$?%&'!+*`@」

「きゃーっ♪」

どんなコースを辿ったかわからないうちに、終了した

「はっ早川ちょっとやすm「どんどんいくよ!」」

この後も何個も絶叫マシンに乗り、お昼の時間になった

「お腹も減ったしあそこのレストランに入りましょう」

「わかった」

レストランに入ると少し混んでいるようにみえたが、すぐに順番になり席に座れた

「よいしょっと」

「ふぅー腹減ったー」

お互い席に座り、俺はモコモコに着込んだ服を脱ぎマフラーも外した、早川も上着を脱ぎマフラーと手袋を外した

メニューをまじまじと見つめ

「ランチセットにしよう」

「私もそれで」

……
……
……

食事を済ませ一服していると

「午後はなんか乗りたいものある?」

「……あんまり激しくないものがいいな」

「あはは了解」

早川は笑いながら了解してくれた

俺は脱いだ上着とマフラーを付け、早川も脱いだ上着とマフラーを付けて外に出た ん? 早川ってもっとなんか身に着けてなかったっけな?

「忘れ物はない?」

「ないよ〜」

俺の気のせいか

お昼は俺が奢り、二人で外に飛び出ていった

「さあ、行くよ〜」

「うん」

午後は迷路やお化け屋敷など比較的おとなしい事をやった

いろんな事をしていたら、遅い時間になっていた

「早川、時間的に次がラストになりそうだぞ」

「そうねーやっぱり最後は……」

……
……
……

「じゃあドア閉めるからね」

係のお兄さんに言われ、ガコンとドアを閉められた

「やっぱり最後はこれよね〜」

「そうだね」

最後はお決まりの観覧車に乗った

俺と早川は向き合って座った

「今日はありがとうね」

「お礼を言うのはこっちだよスゴイ楽しかったよ」

「ならよかった♪」

「ただ、初っぱなから絶叫系があんなに続くとは思わなかったよ」

「ごめんごめん、椿くんの反応が面白くて…… いま思い出しても笑っちゃう」

そんな理由で俺はあんなに恐ろしい事に付き合わせられたのか

観覧車は少しづつ上にのぼっていった

「ねえ?」

「なに?」

「そっちに行ってもいい?」

「え!? もっもちろん」

俺はスッと横に動きスペースを作った

「うふふ、ありがとう」

早川が横にきた…… なんて綺麗な髪なんだろう……

「あ!? 見てみて」

「えっえ!」

ハッと我にかえった

観覧車はいつの間にか頂点に来ていて

「ねえ? 綺麗でしょ?」

「うん」

そこには綺麗な夜景が広がっていた、広大な町を上から見下ろすのはなんとも言えないものだった

早川と俺はしばらく、夜景をみていた

「ふぅ満足満足」

早川は夜景に満足したのか、正面を向いていた…… なんとなく早川の手を見ると…… あれ? 早川って手袋してなかったっけ?

「早川?」

「ん? なに?」

「俺の気のせいかもしれないけど、手袋してなかったっけ?」

「あぁー! やっと気づいた!」

「??」

ん? どういうことだろうか?

「誰かさんに握ってもらいたくて、お昼からずっと手袋を付けて無かったんだけどなー」

あっ! あの時に気づいた違和感はこれだったのか

「ごっごめん、気づけなかった…… 今からでも遅くない?」

「もう!」

早川はふくれ顔で手を差し伸ばした……

俺はギュッと握りかえした

柔らかく…… とても冷たくなっていた……

「誰かさんが気づいてくれなかったせいで、こんなに冷たくなってるよ」

自分で自分に悪態をついた

「本当よ! まったく! でもまぁ…… ギリギリセーフかな……」

そう言って寄っかかってきた

ちっ近い…… そして早川の香りがした

「……愛香……髪を撫でてもいい?」

「いいよ……」

握っていた左手を一旦外し、早川の左肩をギュッと抱き寄せ

「……」

俺の体の向きを少し調整し、俺の右手で早川の右手を握りなおし

「……」

左手を早川の肩から外し、髪に触ると

「優しくね……」

「うん……」

髪を撫で始めた…… 頭のてっぺんから指がスーッと下まで通っていった…… その手触りがとても良く心地よかった…… 

何度も何度も撫で、時には髪を指に絡ませいろんな手触りを楽しんだ

早川は気持ちがいいのか目をつぶっていた

至福の時間を過ごしていたが…… 終わりが来た……

アナウンスが聞こえ終わりが近いと宣告された

「……早川」

「……うん」

早川は俺の体からパッと離れ、手袋はしないで出る準備をした

ガチャリとドアが開き

「は〜いお疲れ様でした〜」

早川が先に降り続いて俺が降りた

「また、よろしくお願い致しま〜す」

早川の手をギュッと握り、遊園地を出た

そのまま、電車で地元の駅まで行き

「ここで別れましょうね」

「うん」

とても残念だが仕方ないか

「じゃあね椿くん、また近いうちに……」

「!! うん、また近いうちに会おうね!」

「バイバーイ♪」

早川は大きく手を振って、帰っていった


後書き

11作品目

早川偏の2作品目

リクエストです、いやーあの1作目からまさか続きを書くとは思いませんでしたw

早川が椿くんを振り回していますw

できとしては、自分で言うのもあれですが、よくできていると思います、
二人共楽しそうにしてますしねw

お気に入り度は90点です、途中省略してありますが、まとまってますしね。

余談ですが、この作品を投下し終わってちょうどスレの容量がオーバーしましたw
あせって立て直しましたw

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